【 さ ん ま 】
夢を見た。
・・・最悪な夢を。
内容は覚えちゃいないが、妙に魚くさかったことだけは嫌なほど覚えている。
「ふぐゥっ!?。」
「キョン君、起きて〜。」
「・・・・重い。」
「ほらほら起きて〜。」
兄に何を思ったかボディープレスをかまし、謝りもせずに兄を引っ張る我が妹・・。
妹に萌える諸君、悪いが俺には微塵も理解できん・・。
「ちゃんと起きるから手を離してくれ・・・。」
「は〜い、ちゃんと起きてね。」
やれやれ、起きるか。
オレが起き上がると妹はバタバタという音とともに1階に下りていった。
さっきのあれはハルヒに悪影響を受けたに違いない。
ええい、忌々しい・・素直なうちの妹を毒さないで欲しいものだ。
今は考えても仕方ないので、着替えて学校に行くか。
「キョン!海へ行くわよっ!!」
教室に着くとハルヒは唐突にそんなことを言ってきた。
コイツが唐突に突飛なことを言うのは今更どうでもいい。
ただ場所が問題だ。
冬の海?いくら暖冬とはいえ冬の海に近づくなんてことは真っ平ごめんだ
「何よー。文句でもあんの?」
「あぁ、この胸一杯の文句がある。この寒い時期にどこを探せば海に行きたがるやつがいるんだ」
「この私よ。団長が行きたいって言ってるのよ。拒否権はないわ、いいわねキョン。」
・・・駄目だって言っても連れてかれるのはわかっているが文句ぐらい言わせてくれ。
「文句なら聞かないわよ、アンタはSOS団の団員なんだからね。団長の聞かないやつは死刑よ!」
心を読むな
「はぁ・・わかったよ、行けばいいんだろ行けば。」
「行ってからの事は放課後に部活で言うわ。」
そういうと窓の外を眺めるといういつもの体勢に戻った。
やれやれだ。
で、放課後。
部活限定のエンジェルの朝比奈さんの淹れたお茶に癒されながら、朝の悪夢を思い出していた。
冬の海か、どうにか長門に嵐でも呼んでもらいたいもんだが・・・気象操作は駄目だったか、仕方ない。
「どうしました?浮かない顔をして。」
さわやかな笑顔を浮かべたソイツはそう話しかけてきた
「いや、これから起こることに関してね。」
「はい?」
バンッッッ!!
「皆集まってるわね!!早速だけど明日は海釣りにいくわよ!!」
我らが団長様は満面の笑みを浮かべて高らかに宣言した
「ほぅ、海釣りですか。」
おい、賛同するみたいな迂闊な発言するな
「・・・UFO探しや宇宙人の捜索に付き合うよりはよっぽど正当だとは思いますが。」
古泉は小声でいった
「何で寒空の下で海釣りなんてものをすることになるのか説明してほしいな。」
「昨日、テレビで焼き魚特集がやってたのよ。これは新鮮な焼き魚を食べるしかないと思ったわけよ。んで、せっかくだったら秋刀魚が食べたいなぁ〜っと思ったの。」
「まさかそれだけで海釣りしようなんて言ってるんじゃないだろうな・・?」
「そうよ。」
「・・・いいか、ハルヒ。今は秋刀魚の季節じゃないし、冬の海で長時間釣りをするのはまだ我慢しよう。道具はどうするんだ、道具は」
「そんなことやってみないとわからないじゃない。うっかり海岸に残った秋刀魚がいるかもしれないし、釣れそうにない魚を釣るほうが普通に釣るより面白いじゃない。道具は・・・。」
「道具なら僕が用意しますよ。知人に魚釣りが趣味の方がいます。」
「ありがと、古泉くん。これで問題ないわね。」
「はぁ・・わかったよ、行けばいいんだろ行けば。」
「皆わかった?」
「はい。」「ひゃい。」「了解した。」
三者三様の返事とともに明日の海釣りは決定した。
当日、珍しく遅刻することもなく集合場所に到着した俺は団長様のお咎めを受けることもなく平和な始まりを迎えた
「あ、キョンくん」
俺に気づいた朝比奈さんが笑顔で手を振っている。いやぁ、今日はいい日だ。
「珍しいじゃない、キョン。そうやってこれからもSOS団にきっちりと貢献なさい。」
仁王立ちで防波堤に立ったハルヒは笑顔でいった。
そんなとこに立つな、下のものが見えるだろ。
「皆あつまったのかね?」
近くにあった漁船から人のよさそうなおじさんが頭を出してきた。
「こちらの住谷さんが今回の船を出してくれる方です」
「こんにちは、住谷といいます。」
「こんにち・・「こんにちは、涼宮ハルヒです」」
おい、人の台詞をとるな。
「いいじゃない、減るもんじゃないし」
「元気なお嬢さんだね。続きの自己紹介は船を出した後にでもするとして乗ってくれるかい?」
「わかりました」
ハルヒは普段の調子からは想像できないほど真人間な対応をした。
どうしてコイツは外面だけはこんなにいいんだ。いつもこういう風にしてればいいのに。
「何すったってるのよ、早く乗るわよ」
「はいはい」
俺は肩をすくめながらハルヒに続いて乗船した。
かくして俺たちは20分ほどで釣りのポイントへと移動した。
ただ、1つ目のポイントに着く前に脱落者が1人発生した。
朝比奈さんだ。
出発して数分で酔うのは最早1つの特技のような気がするな。
「みくるちゃんはキャラ通りの役割を真っ当して船の中で寝たけど、私たちは頑張って魚を釣り上げるわよ。目標はさ・ん・ま。秋刀魚が釣れるまで帰れないわよっ!!」
まだ秋刀魚を釣る気でいるコイツに少なからず恐怖を覚える。
「さぁ、SOS団秋刀魚釣り大会開始よっ!!」
ハルヒの合図とともに団員全員が釣りを開始した。
その後、しばらくしてからにやけ顔の男が顔を近づけてきた。
顔が近い!
「頑張って釣ってくださいよ。秋刀魚じゃなくても大物を釣れば彼女も満足してくれるでしょう。そうすれば私もバイトに借り出されなくて済むでしょう」
「お前のことは知らんが、こんな場所でわけのわからんことに巻き込まれるのはごめんだな」
「頼みますよ」
しかし、こればっかりは運だからどうしようもない。あとその気持ち悪い顔をどけろ。
古泉は肩をすくめると、元の体勢に戻った。
やれやれ、何でもいいから早く釣れてくれ。
釣りを開始して2時間、めぼしい反応がないので次のポイントへと移動。
移動の最中にハルヒは「何で一匹もこないのかしら」と少しばかりイラ立ち始めた。その様子を苦笑いで見つめる古泉を見て、少なからずこの状況を楽しんでしまった。
で、2つ目のポイントで釣り始めること10分。
ふいに長門はどうしてるのか気になってみていると、いつも通り微動だにしない静止状態を保っていた。
「・・・何?」
「いや、その・・楽しんでるか?」
「・・・それなりに」
普段よりも少し頬をほころばせてる気がするが、楽しめているようで何より。
ん?
「おい、長門。お前の竿、ひいてないか?」
「・・・少しひっぱられてる」
「そりゃ魚にエサが食いついてるんだ!竿もちあげろ、竿!!」
「・・・わかった」
長門が竿をもちあげると、竿が弧を描いた。
「あとリールを早過ぎないように巻いて、魚が見えたら釣り上げろ」
コクッ。
長門は頷いて、一定の間隔でリールを巻き始め、程なくして海面に現れた魚を住谷さんが網で掬い上げた。
釣り上げた魚はそれほど大きくないが、さっきの状態から考えりゃ大きな前進だ。
無事つりあげた長門に笑みを浮かべたハルヒが抱きついた
「でかしたわ、ユキ!この調子でじゃんじゃん釣るわよっ!!」
その言葉を合図に、団員の面々は次々と魚を釣り上げはじめた。
朝比奈さんも途中で復帰し、オレや古泉が後ろから支えながらも何匹か釣り上げた。
それだけ聞くと、いいかもしれない。
だが、オレだけは何故か小物ばかりが食いつき、キャッチ&リリースの精神を貫く男と化していた。
何の嫌がらせだ、これは。
「こら、バカキョン!そんな小さいのばっか釣っても仕方ないじゃない。もっと大きなの釣りなさいよ。」
クーラーボックスを見ると、ハルヒが全員の中で一番大きな魚を釣っているのがわかった。
大きさも中の上ぐらいのサイズだ。
「それよりもさ・ん・ま。アタシは秋刀魚が食べたいの。新鮮な秋刀魚を団長に食べさせるために頑張りなさい」
だから秋刀魚は無理だっての。
「黙りなさい、キョン。アンタ、団長の命令に逆らう気?」
「従いますよ、団長さま」
逆らったら死刑だもんな。
気合を入れなおして、釣りのポイントも変わりつつも釣りに励んだんだが、思ったよりも成果を残せずに夕方を迎えた。
「釣れるには釣れているが・・あんまりだな;」
「いっぱい釣れたのはいいけど、秋刀魚は全く釣れないわねぇ・・」
ハルヒのそんな一言を受けて、俺は小声で古泉に声をかけた
「おい、ハルヒは一応常識人なんだよな?」
「はい、そのはずです。・・・やっぱりどこかでずれているんでしょうか。」
「おい、頼むぞ。アイツのことだ、釣れるまでやめないとか言いそうだぞ」
「ほら、そこ!喋ってないで秋刀魚のことだけ考えて釣んなさい」
マジかよ。
そう思ったときに今までにない引き方で糸がひっぱられた。
「とりあえず大きいの来てくれよ」
本日最後かもしれない獲物に、今日一番の集中力を見せてリールを巻く。
だが、相手も相手で当然釣られてたまるかと猛反発してくる。
すると水の中にキラっと光る影が見えた。
まさか、か。
「とりあえず光モノの魚ではありますね」
古泉もさすがに冷や汗をかいている。
「釣り上げりゃわかるだろ」
残りの糸を巻くと、海面近くにその正体が現れた。
・・・・秋刀魚だ。
んなバカな
「ホントに・・・?すごいわ、キョン!」
「・・あ・・・ああ」
呆然としてる中、住谷さんが網で秋刀魚を掬い上げ
「ホントにこんなものが釣れるなんて・・・すごい珍しいことだよ・・」
と心底驚いていた。
そりゃそうだろ、秋刀魚の時期はとっくに終わってる。
全くハルヒ様々だな・・微妙な意味で。
「でかしたわ、キョン!これで今回の企画は成功ね」
うちの団長さまは多いに喜んでくれているようだが、オレはさすがに冷や冷やしてる
そこに古泉がきて
「さすがは涼宮さんですね。ここまで来るとさすがに驚嘆の域ですよ」
「誰だ、ハルヒが常識人なんていったやつは」
「まぁ、この程度の現象で毎回済んでくれればこちらとしてはうれしいのですけどね。」
全くだ
「さぁ、陸に帰って塩秋刀魚を堪能するわよっ!!」
目的を果たした我がSOS団は早々に陸へと帰った。
無事帰還した満面の笑みを浮かべた団長さまとその他団員で、釣った魚料理を堪能し、しばしの休息を堪能した。
たしかに自分達で釣った魚はすごく旨かった
「こういう企画をたまにやってくれるとうれしいな」
魚で満たされた気持ちでにこやかにハルヒに言うと
「まぁ、こういうのも悪くないわね。考えとくわ」
ぜひ今度は能力とは関係ない企画でありますように頼むぜ、団長さま
あとがきらしきもの
結構文章が乱雑です・・orz
冷し中華さんのリクエスト通り、秋刀魚が世界というかこの世を救ってます(ぇ
意味のわからない人は原作の設定などを読むと良いです
ではでは〜
PS 秋刀魚の時期は名前にもついているように秋です
間違っても冬でもなく、春先でもないですw